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社会保険労務士

社労士試験 合格基準について

令和6年(第56回)社労士試験の結果と総括

令和6年(第56回)社会保険労務士試験はさる8月25日(日)、全国主要19都道府県の会場で行われましたが、その結果が、10月2日(水)に官報及び全国社会保険労務士会連合会の社労士試験センターホームページ上で発表されました。 その実施概況は、以下のとおりです。
実施概況
項目 令和5年結果 対前年比 令和4年
受験申込者数 53,707人 +415人 53,292人
受験者数 43,174人 +433人 42,741人
受験率 80.4% +0.2ポイント 80.2%
合格者数 2,974人 +254人 2,720人
合格率 6.9% +0.5ポイント 6.4%
合格基準点
(1)合格基準
本年度の合格基準は、次の2つの条件を満たしたものを合格とする。
@ 選択式試験は、総得点25点以上かつ各科目3点以上
(ただし、労務管理その他の労働に関する一般常識は2点以上)
A 択一式試験は、総得点44点以上かつ各科目4点以上である者
※上記合格基準は、試験の難易度に差が生じたことから、昨年度試験の合格基準を補正したものである。
(2)配点
@ 選択式試験は、各問1点とし、1科目5点満点、合計40点満点とする。
A 択一式試験は、各問1点とし、1科目10点満点、合計70点満点とする。
総評
(1)令和6年試験(第56回)の合格率は、「6.9%」(前年から0.5ポイント上昇)
社会保険労務士試験(以下、「社労士試験」)の合格率は、平成20年(第40回)から平成26年(第46回)の試験まで、 1桁台の後半(5.4%〜9.3%)で推移していましたが、平成27年(第47回)に試験史上最低で、初めて5%を切る「2.6%」を記録しました。 さらに、翌年の平成28年(第48回)も平成27年に次ぐ史上2番目に低い「4.4%」にとどまったことから、社労士試験は、5%を下回る「低合格率時代」に入ったものとみられていました。
しかし、平成29年(第49回)の試験では、「6.8%」と3年ぶりに「5%」を大きく超え、続く平成30年(第50回)(6.3%)、令和元年(第51回)(6.6%)、令和2年(第52回)(6.4%)と4年連続6%台を記録しました。 令和3年(第53回)の合格率はさらに上昇し、過去10年では、平成26年の「9.3%」に次ぐ、2番目に高い「7.9%」を記録しています。 令和4年(第54回)の試験では、「5.3%」と6年ぶりに6%を下回る低合格率となりましたが、昨年の令和5年(第55回)の試験の合格率は、「6.4%」と6%台に復活しています。
今回の令和6年(第56回)試験でも、合格率は、前年に引き続き、6%台となる「6.9%」と発表されました。このような流れから、最近の試験では、「数年に1度」の頻度で、 極端な「低合格率」を記録する年があるものの、大勢として、「合格率(6%台)の安定期」に入ったものと考えられます。
来年に社労士受験を目指されている方には、前述のように、「数年に1度」の頻度で、極端な「低合格率」を記録する年があることも覚悟しておく必要もですが、「数年に1度」の「極端な低合格率」が、 令和4年(第54回)に記録されたと考えると、令和7年(第57回)の試験でも、合格率は「6%」台となる可能性が高いと考えるのが妥当なようです。
今回の試験における合格者数は、「2,974人」で、前年の「2,720人」と比べ「254人」増加しています。今回の受験者数(43,174人)は、前年(42,741人)と比べ433人増加していますが、 受験者数の増加割合(1%)と合格者数の増加割合(9.3%)を比較すると、今回の「合格者数」の増加の最大の要因は、今回の合格率(6.9%)が前年(6.4%)と比較して0.5ポイント増加したことにあったようです。
なお、近年、新型コロナウイルスの影響で受験率(受験申込者数に占める受験者数の割合)の低下(70.8%(令和2年)・74.0%(令和3年))傾向がみられましたが、 令和4年以降の試験では、受験者の「コロナ慣れ」及び「第5類への移行」により、受験率は77.8%(令和4年)、80.2%(令和5年)とコロナ前の水準(令和元年・77.7%)に戻っています。 今回の令和6年の試験では、受験率はさらに上昇(80.4%)したことから、社労士試験における「コロナ感染症」の影響はなくなったものと考えられます。
なお、合格者数の推移をみると、平成26年以前の10年間の平均の合格者数の約4,000人と比較すると、今回の合格者数は1,000人程度減少しています。 これは、社労士の受験者数がピーク時(平成22年・55,445人)と比較して、今回の試験(43,174人)では1万2,000人強、減少していることが要因となっています。
(2)択一式試験の合格基準点は、前年を1点下回る「44点」
今回の択一式試験の全受験者の平均点(試験センター発表。以下、同じ。)は、「30.6点」で、前年(31.8点)よりも「1.2点」下回っています。 今回の択一式の試験では、各科目について、難問が散見され、全体的な問題のレベルは、直近の5年間の試験の中でも、最も難度が高かったものと考えられます。
なお、前述のように、今回の択一式の平均点は、前年の平均点との比較では、「1.2点」低かったことから、今回の択一式の総合得点の「合格基準点」は、前年(「45点」)を1点下回る「44点」と発表されました。
ちなみに、直近の5年間の「択一式の合格基準点」と、「全受験者の択一式の平均点」を比較すると、令和2年(31.5点(全受験者の択一式の平均点。以下同じ)→44点(合格基準点。以下同じ))、 令和3年(32.3点→45点)、令和4年(30.9点→44点)、令和5年(31.8点→45点)、令和6年(30.6点→44点)となっており、「択一式の合格基準点」は、「全受験者の択一式の平均点」に比例していることがわかります。
このため、令和7年の択一式の「合格基準点」についても、当然のことながら、問題の難易度(受験者の平均点)に比例して決定されるものと考えられ、「○○点以上取れば、安全圏」という基準を想定することは難しいようです。
(3)選択式試験は「労働の常識」で「2点」の救済措置(「2点以下」の救済は3年ぶり)
選択式試験の合格基準については、原則として、各科目「3点以上」を合格点としています (総合得点についても、合格基準点が設定されていますが、科目別の合格基準点をクリアした受験者が総合得点で合格基準点を下回ることはほとんどありません。)が、 「3点以上」の得点者の割合が低かった科目については、「2点」(さらに「2点以上」の得点者の割合が低かった科目については、「1点」)の得点の科目を合格点として救済しています。
今回の選択式試験の問題の総合得点の平均点は、「22.9点」で、令和5年の「23.3点」を「0.4点」下回り、令和3年(21.8点)を「1.1点」上回っているます。 選択式試験の総合点の合格基準点は、令和5年が「26点」、令和3年が「24点」でしたので、今回の総合得点の合格基準点は、この両年の合格基準点の中間の得点となる「25点」で決定されました。
また、令和3年まで、毎年、複数科目で行われていた「2点(1点)」の救済措置の対象となった科目は、令和4年及び令和5年の直近2年間の試験では、1科目もなく、科目別の「合格基準」は、 『各科目「3点以上」あること』とされました。
当社でも、今回は「2点」の救済は1科目も行われない可能性が高いものと予想し、救済の可能性がある科目として、「2点以下」の得点者の割合が高いと予想された「労働に関する一般常識」を指摘しました。
発表された「労働に関する一般常識」の受験者の平均点は、「2.0点」と極端に低く、最後に「2点」の救済措置が行われた、令和3年に「2点」の救済が行われた「国民年金法」の平均点が「2.4点」であったことを考えると、 今回、「労働に関する一般常識」について、「2点」の救済が行われたことは「妥当」な措置であったといえます。
ただし、前述のように、令和4年及び令和5年の直近の2年間においては、科目別の「2点」の救済措置を1科目も認めなかったように、今回の「労働に関する一般常識」の「2点」の救済は、 あくまでも「極端に「3点以上の得点者の割合が低かった」ことによる特例」による措置と考え、令和7年度の受験者の方には、「2点の救済は行われない」ことを前提とした「選択式対策」が必要です。
(4)第56回社会保険労務士試験の総括
今回の試験について、@「合格率」、A「択一式の合格基準点」、B「選択式の「2点(1点)」の救済の対象となった問題数」等を、 直近の5年間の試験と比較し、令和7年の試験についての@〜Bを予想すると以下のとおりです。
@の合格率については、今回、前年に引き続き、「6%台」となったが、「合格率」については、択一式及び選択式の「合格基準点」によって左右されます。 前記(1)の項では、令和7年の合格率について、「6%」台となる可能性が高いとの予想をしましたが、択一式の「合格基準点」のわずか1点の差、選択式の2点の救済措置の対象となる科目数の1科目の差によって、 合格率も大きく上下するので、合格率を予想することは至難です。
このため、令和7年度の受験対策を進めるに当たっては、「合格率」を想定するのではなく、比較的、狭い範囲の得点の中で推移する「合格基準点」をクリアするための学習に徹することが必要です。
Aの択一式の合格基準点については、前記(2)の項で述べたように、その年の受験者の平均得点に比例した得点で決定されているので、令和7年試験の「合格基準点」は、 その年の「問題のレベル」に左右される要素が大きく、現時点で予想することは困難ですが、「44〜46点」程度の得点を目標に択一式対策を行うことが妥当なようです。
Bの選択式の「2点(1点)」の救済措置の可能性についても、択一式試験と同様、試験問題のレベルにより救済の対象科目が変わりますが、前記(3)の項で述べたように、今回の試験で、 3年ぶりに「2点」の救済措置が行われた(労働に関する一般常識)ことは、「例外」と考え、令和7年試験の選択式対策を行うにあたっては、「2点の救済は行われない」ことを前提とした「3点以上の絶対確保」を目標としたいところです。
平成12年以降の社労士試験の実施状況
※現行の「選択式試験」が採用された平成12年以降の社労士試験の実施状況について掲示しています。
択一式試験 選択式試験 合格率
総合・
合格
基準点
科目別必要最低得点 難易度 総合・
合格
基準点
科目別必要最低得点 難易度
6年 44点 4点 A 25点 3点
   (「労一」→2点)
B 6.9%
5年 45点 4点 B 26点 3点 B 6.4%
4年 44点 4点 A 27点 3点 C 5.3%
3年 45点 4点 B 24点 3点
(「労一」→1点・「国年」→2点)
A 7.9%
2年 44点 4点 B 25点 3点
 (「労一」・「社一」・「健保」→2点
A 6.4%
元年 43点 4点 A 26点 3点
   (「社一」→2点)
C 6.6%
30年 45点 4点 B 23点 3点
 (「社一」・「国年」→2点)
B 6.3%
29年 45点 4点
   (「厚年」→3点)
B 24点 3点
 (「雇用」・「健保」→2点)
B 6.8%
28年 42点 4点
 (「常識」・「厚年」・「国年」
→3点)
A 23点 3点
 (「労常」・「健保」→2点)
A 4.4%
27年 45点 4点 A 21点 3点
 (「労常」・「社常」・「健保」・
 「厚年」→2点)
A 2.6%
26年 45点 4点
   (「常識」→3点)
B 26点 3点
 (「雇用」・「健保」→2点)
C 9.3%
25年 46点 4点 B 21点 3点
(「社常」→1点
「労災」・「雇用」・「健保」→2点)
A 5.4%
24年 46点 4点 B 26点 3点
   (「厚年」→2点)
B 7.0%
23年 46点 4点 B 23点 3点
(「労基・安衛」・「労災」・「社常」・「厚年」・「国年」→2点)
A 7.2%
22年 48点 4点 B
(注)
23点 3点
(「国年」→1点
「健保」・「厚年」・「社常」→2点)
A 8.6%
21年 44点 4点 B 25点 3点
(「労基・安衛」・「労災」・「厚年」→2点)
B 7.6%
20年 48点 4点 C 25点 3点
(「健保」→1点
「厚年」・「国年」→2点)
A 7.5%
19年 44点 4点 B 28点 3点 C 10.6%
18年 41点 4点
(「労基・安衛」・「常識」→3点)
A 22点 3点
(「労基・安衛」・「労災」・「社常」・「厚年」→2点)
A 8.5%
17年 43点 4点 B 28点 3点
  (「労基・安衛」→2点)
B 8.9%
16年 42点 4点
(「健保」・「厚年」・「国年」→3点)
A 27点 3点
   (「健保」→1点)
B 9.4%
15年 44点 4点
(「労基・安衛」・「厚年」→3点)
B 28点 3点
(「労常」・「社労」・「厚年」・「国年」→2点)
A 9.2%
14年 44点 4点 B 28点 3点
  (「労基・安衛」→2点)
B 9.3%
13年 45点 4点
   (「常識」→3点)
B 26点 3点
(「労基・安衛」・「厚年」・「国年」→2点)
A 8.7%
12年 49点 4点 C 28点 3点 C 8.6%

(注)
1.「難易度」(A→難度が高い、B→普通、C→難度が低い)は、各年度において受験者から寄せられた復元解答の得点状況及び試験センター発表の「社会保険労務士試験得点状況」による。
2.「択一式」は70点満点(1科目10点満点)、「選択式」は40点満点(1科目5点満点)。
3.平成22年の択一式試験の難易度は「B」であったが、この年は出題ミスが5問あり、受験者に有利な採点が行われたため、問題レベルと比較して、「合格基準点」が高くなった。

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