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社会保険労務士

社労士試験 合格基準について

令和7年(第57回)社労士試験の結果と総括

令和7年(第57回)社会保険労務士試験はさる8月24日(日)、全国主要19都道府県の会場で行われましたが、その結果が、10月1日(水)に官報及び全国社会保険労務士会連合会の社労士試験センターホームページ上で発表されました。 その実施概況は、以下のとおりです。
実施概況
項目 令和7年結果 対前年比 令和6年
受験申込者数 53,618人 -89人 53,707人
受験者数 43,421人 +247人 43,174人
受験率 81.0% +0.6ポイント 80.4%
合格者数 2,376人 -598人 2,974人
合格率 5.5% -1.4ポイント 6.9%
合格基準点
(1)合格基準
本年度の合格基準は、次の2つの条件を満たしたものを合格とする。
@ 選択式試験は、総得点22点以上かつ各科目3点以上である者
(ただし、労働者災害補償保険法、労務管理その他の労働に関する一般常識及び社会保険に関する一般常識は2点以上)
A 択一式試験は、総得点42点以上かつ各科目4点以上である者
(ただし、雇用保険法は3点以上)
※上記合格基準は、試験の難易度に差が生じたことから、昨年度試験の合格基準を補正したものである。
(2)配点
@ 選択式試験は、各問1点とし、1科目5点満点、合計40点満点とする。
A 択一式試験は、各問1点とし、1科目10点満点、合計70点満点とする。
総評
(1)令和7年試験(第57回)の合格率は、「5.5%」(前年から1.4ポイント低下)
社会保険労務士試験(以下、「社労士試験」)の合格率は、平成20年(第40回)から平成26年(第46回)の試験まで、 1桁台の後半(5.4%〜9.3%)で推移していましたが、平成27年(第47回)に試験史上最低で、初めて5%を切る「2.6%」を記録しました。 さらに、翌年の平成28年(第48回)も平成27年に次ぐ史上2番目に低い「4.4%」にとどまったことから、社労士試験は、5%を下回る「低合格率時代」に入ったものとみられていました。
しかし、平成29年(第49回)の試験では、「6.8%」と3年ぶりに「5%」を大きく超え、続く平成30年(第50回)(6.3%)、令和元年(第51回)(6.6%)、令和2年(第52回)(6.4%)と4年連続6%台を記録しました。 令和3年(第53回)の合格率はさらに上昇し、過去10年では、平成26年の「9.3%」に次ぐ、2番目に高い「7.9%」を記録しています。 令和4年(第54回)の試験では、「5.3%」と6年ぶりに6%を下回る低合格率となりましたが、令和5年(第55回)及び令和6年(第56回)の試験の合格率は、それぞれ「6.4%」、「6.9%」と6%台に復活しています。
このような流れから、大勢として、「合格率」は、「6%台」の安定期に入ったものと考えられましたが、今回の令和7年(第57回)試験の合格率は、前年から1.4ポイントの低下となる「5.5%」と発表されました。 この「5.5%」という合格率は、平成29年(第49回)の試験以降では、令和4年(第54回)の「5.3%」に次ぐ「低合格率」となっています。
しかし、最近の試験では、「数年に1度」の頻度で、「低合格率」を記録する年があるものの、低合格率が翌年以降も継続することは比較的少ないため、 今回の結果は、「低合格率時代の再来」と考えるよりも、「数年に1度記録される低合格率の年」であったと考えるのが妥当かもしれません。 このような流れから、社労士試験の合格率を予想すると、「低合格率」を記録した今回の試験の「翌年」に実施される令和8年(第58回)の試験では、合格率は「6%」台に復活する可能性がより高いものと考えられます。
今回の試験における合格者数は、「2,376人」で、前年の「2,974人」と比べ「598人」減少しています。今回の受験者数(43,421人)は、前年(43,174人)と比べ247人増加していますが、 受験者数が「+1.0%」と増加したにもかかわらず、合格者数は「−7.9%」と大きく減少していますので、 今回の「合格者数」の減少の最大の要因は、合格率(5.5%)が前年(6.9%)と比較して1.4ポイント低下したことにあったようです。
なお、合格者数の推移をみると、平成26年以前の10年間の平均の合格者数の約4,000人と比較すると、今回の合格者数は1,600人程度減少しています。 これは、社労士の受験者数がピーク時(平成22年・55,445人)と比較して、今回の試験(43,421人)では1万2,000人強、減少していることが要因となっています。
(2)択一式試験の合格基準点は、前年を2点下回る「42点」
今回の択一式試験の全受験者の平均点(試験センター発表。以下、同じ。)は、「28.4点」で、前年(30.6点)よりも「2.2点」下回っています。 今回の択一式の試験では、各科目について、難問が多く出題され、全体的な問題のレベルは、直近の5年間の試験の中でも、最も難度が高かったものと考えられます。
なお、前述のように、今回の択一式の平均点は、前年の平均点との比較では、「2.2点」低かったことから、今回の択一式の総合得点の「合格基準点」は、前年(「44点」)を2点下回る「42点」と発表されました。 この「42点」は、平成23年(第43回)試験以降では、平成28年(第48回)と並び、最も低い「合格基準点」となっています。 また、平成30年(第50回)の試験以降、令和6年(第56回)の試験まで行われていなかった「科目別」の「3点の救済措置」が、今回の試験では「雇用保険法」で行われたことからも、 今回の「択一式試験」は、平成29年(第49回)の試験以降では、「最も難度の高い」問題が出題されたものと考えられます。
ちなみに、直近の6年間の「択一式の合格基準点」と「全受験者の択一式の平均点」を比較すると、令和2年(31.5点(全受験者の択一式の平均点。以下同じ)→44点(合格基準点。以下同じ))、 令和3年(32.3点→45点)、令和4年(30.9点→44点)、令和5年(31.8点→45点)、令和6年(30.6点→44点)、令和7年(28.4点→42点)となっており、 「択一式の合格基準点」は、「全受験者の択一式の平均点」に比例していることがわかります。
このため、令和8年の択一式の「合格基準点」についても、当然のことながら、問題の難易度(受験者の平均点)に比例して決定されるものと考えられ、「○○点以上取れば、安全圏」という基準を想定することは難しいようです。
(3)選択式試験は「労災保険法」、「労働の常識」、「社会の常識」で「2点」の救済措置
今回の選択式の受験者の総合得点の平均点は、「20.3点」で、令和6年の「22.9点」を「2.6点」、令和5年の「23.3点」を「3.0点」下回っています。 令和7年の選択式の総合得点の合格基準点は、令和6年の「25点」から「3点」、令和5年の「26点」から「4点」、それぞれ引き下げられ、「22点」と発表されています。 今回の「合格基準点(22点)」を、令和6年及び令和5年の合格基準点(「25点」、「26点」)と比較すると、前述の今回の受験者の平均点と令和6年及び令和5年の平均点の得点差(-2.6〜-3.0点)以上の引き下げが行われたことになります。 これは、平均点の得点差以上に、今回は、各科目の合格点とされる「3点以上の得点者」の割合が低かったことが要因と考えらえます。
選択式試験の合格基準については、「総合得点」のほかに、原則として、各科目「3点以上」を「合格基準」としています(実際には、「科目別」の合格基準点をクリアした受験者が「総合得点」で合格基準点を下回ることはほとんどありません。)。 ただし、「3点以上」の得点者の割合が低かった科目については、「2点」(さらに「2点以上」の得点者の割合が低かった科目については「1点」)の得点の科目を合格点として救済しています。
令和3年まで、ほとんどの年で行われていた「2点(1点)」の救済措置は、令和4年及び令和5年の2年間の試験では対象科目が1科目もなく、令和6年の試験では、「労働に関する一般常識」の1科目のみが「2点」の救済措置の対象となりました。 このように、最近の試験では、『各科目「3点以上」あること』の合格基準の厳格化が強まり、「2点の救済は極力認めない」という傾向がみられていました。 当社でも、今回は「2点の救済は1科目も行われない可能性もある」と予想し、救済の可能性がある科目として、 「2点以下」の得点者の割合が高いと予想された@「労災保険法」、A「労働に関する一般常識」及びB「社会保険に関する一般常識」については、 それぞれ、「3割」、「5割」、「3割」程度の確率で「2点」の救済の可能性があることを指摘しました。
発表された結果によると、当社が指摘した3科目ともに「救済措置」の対象となりましたが、これは、受験者の平均点が、@が「2.1点」、Aが「2.0点」、Bが「1.9点」で非常に低く、 これらの3科目について「2点」の救済を行うことで、「合格率」の水準の維持(前述のように、3科目の救済を行っても、なお、「合格率」は前年から1.4ポイント低下しています)を図ったものと考えられます。
なお、前述の「選択式」の『各科目「3点以上」あること』の合格基準の厳格化は、今後も維持されるものと予想され、今回の「3科目」で行われた「2点」の救済は、 あくまでも「極端に「3点以上の得点者の割合が低かった」ことによる特例」による措置と考え、令和8年度の受験者の方には、「2点の救済は行われない」ことを前提とした「選択式対策」が必要です。
(4)第57回社会保険労務士試験の総括
今回の試験について、@「合格率」、A「択一式の合格基準点」、B「選択式の「2点(1点)」の救済の対象となった問題数」等を、 直近の5年間の試験と比較し、令和8年の試験についての@〜Bを予想すると以下のとおりです。
@の合格率については、2年続いた「6%」台から、今回「5%」台に低下しましたが、毎年の合格率は、その年の択一式及び選択式の「合格基準点」によって左右されます。 前記(1)の項では、令和8年の合格率について、「6%」台に戻る可能性が高いとの予想をしましたが、択一式の「合格基準点」のわずか1点の差、 選択式の2点の救済措置の対象となる科目数の1科目の差によって、合格率も大きく上下しますので、合格率を予想することは至難です。 このため、令和8年度の受験対策を進めるに当たっては、「合格率」を想定するのではなく、比較的、狭い範囲の得点の中で推移する「合格基準点」をクリアするための学習に徹することが必要です。
Aの択一式の合格基準点については、前記(2)の項で述べたように、その年の受験者の平均得点に比例した得点で決定されていますので、 令和8年試験の「合格基準点」は、その年の「問題のレベル」に左右される要素が大きく、現時点で予想することは困難ですが、 今回の「合格基準点」となった「42点」よりも2〜3点高い「44〜46点」程度の得点を目標に択一式対策を行うことが妥当であるようです。
Bの選択式の「2点」の救済措置の可能性についても、択一式試験と同様、試験問題のレベルにより救済の対象科目が変わります。 前記(3)の項で述べたように、今回の試験で、3科目で「2点」の救済措置が行われたことは、あくまでも「例外」と考え、令和8年試験の選択式対策を行うにあたっては、「2点の救済は行われない」ことを前提とした「3点以上の絶対確保」を目標としたいところです。
平成12年以降の社労士試験の実施状況
※現行の「選択式試験」が採用された平成12年以降の社労士試験の実施状況について掲示しています。
択一式試験 選択式試験 合格率
総合・
合格
基準点
科目別必要最低得点 難易度 総合・
合格
基準点
科目別必要最低得点 難易度
7年 42点 4点
   (「雇用」→3点)
A 22点 3点
 (「労災」・「労一」・「社一」2点)
A 5.5%
6年 44点 4点 A 25点 3点
   (「労一」→2点)
B 6.9%
5年 45点 4点 B 26点 3点 B 6.4%
4年 44点 4点 A 27点 3点 C 5.3%
3年 45点 4点 B 24点 3点
(「労一」→1点・「国年」→2点)
A 7.9%
2年 44点 4点 B 25点 3点
 (「労一」・「社一」・「健保」→2点
A 6.4%
元年 43点 4点 A 26点 3点
   (「社一」→2点)
C 6.6%
30年 45点 4点 B 23点 3点
 (「社一」・「国年」→2点)
B 6.3%
29年 45点 4点
   (「厚年」→3点)
B 24点 3点
 (「雇用」・「健保」→2点)
B 6.8%
28年 42点 4点
 (「常識」・「厚年」・「国年」
→3点)
A 23点 3点
 (「労常」・「健保」→2点)
A 4.4%
27年 45点 4点 A 21点 3点
 (「労常」・「社常」・「健保」・
 「厚年」→2点)
A 2.6%
26年 45点 4点
   (「常識」→3点)
B 26点 3点
 (「雇用」・「健保」→2点)
C 9.3%
25年 46点 4点 B 21点 3点
(「社常」→1点
「労災」・「雇用」・「健保」→2点)
A 5.4%
24年 46点 4点 B 26点 3点
   (「厚年」→2点)
B 7.0%
23年 46点 4点 B 23点 3点
(「労基・安衛」・「労災」・「社常」・「厚年」・「国年」→2点)
A 7.2%
22年 48点 4点 B
(注)
23点 3点
(「国年」→1点
「健保」・「厚年」・「社常」→2点)
A 8.6%
21年 44点 4点 B 25点 3点
(「労基・安衛」・「労災」・「厚年」→2点)
B 7.6%
20年 48点 4点 C 25点 3点
(「健保」→1点
「厚年」・「国年」→2点)
A 7.5%
19年 44点 4点 B 28点 3点 C 10.6%
18年 41点 4点
(「労基・安衛」・「常識」→3点)
A 22点 3点
(「労基・安衛」・「労災」・「社常」・「厚年」→2点)
A 8.5%
17年 43点 4点 B 28点 3点
  (「労基・安衛」→2点)
B 8.9%
16年 42点 4点
(「健保」・「厚年」・「国年」→3点)
A 27点 3点
   (「健保」→1点)
B 9.4%
15年 44点 4点
(「労基・安衛」・「厚年」→3点)
B 28点 3点
(「労常」・「社労」・「厚年」・「国年」→2点)
A 9.2%
14年 44点 4点 B 28点 3点
  (「労基・安衛」→2点)
B 9.3%
13年 45点 4点
   (「常識」→3点)
B 26点 3点
(「労基・安衛」・「厚年」・「国年」→2点)
A 8.7%
12年 49点 4点 C 28点 3点 C 8.6%

(注)
1.「難易度」(A→難度が高い、B→普通、C→難度が低い)は、各年度において受験者から寄せられた復元解答の得点状況及び試験センター発表の「社会保険労務士試験得点状況」による。
2.「択一式」は70点満点(1科目10点満点)、「選択式」は40点満点(1科目5点満点)。
3.平成22年の択一式試験の難易度は「B」であったが、この年は出題ミスが5問あり、受験者に有利な採点が行われたため、問題レベルと比較して、「合格基準点」が高くなった。

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