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社会保険労務士

社労士試験 合格基準について

平成29年(第49回)社労士試験の結果と総括

平成29年(第49回)社会保険労務士試験はさる8月27日(日)、全国主要19都道府県の28会場で行われましたが、その結果が、11月10日(金)に官報及び全国社会保険労務士会連合会の社労士試験センターホームページ上で発表されました。 その実施概況は、以下のとおりです。
実施概況
項目 平成29年結果 対前年比 平成28年
受験申込者数 49,902人 -2,051人 51,953人
受験者数 38,685人 -1,287人 39,972人
受験率 77.5% +0.6ポイント 76.9%
合格者数 2,613人 +843人 1,770人
合格率 6.8% +2.4ポイント 4.4%
合格基準点
(1)合格基準
本年度の合格基準は、次の2つの条件を満たしたものを合格とする。
@ 選択式試験は、総得点24点以上かつ各科目3点以上(ただし、「雇用保険法」及び「健康保険法」は2点以上)である者
A 択一式試験は、総得点45点以上かつ各科目4点以上(ただし、「厚生年金保険法」は3点以上)である者
※上記合格基準は、試験の難易度に差が生じたことから、昨年度試験の合格基準を補正したものである。
(2)配点
@ 選択式試験は、各問1点とし、1科目5点満点、合計40点満点とする。
A 択一式試験は、各問1点とし、1科目10点満点、合計70点満点とする。
総評
(1)平成29年試験の合格率は、「6.8%」。前年の「4.4%」から2.4ポイント上昇。
社会保険労務士試験の合格率は、一昨年(平成27年・第47回)に「2.6%」という、試験史上最低の合格率を記録し、昨年(平成28年・第48回試験)も平成27年に次ぐ史上2番目に低い「4.4%」にとどまったことから、本格的な「低合格率時代」に入ったものとみられていました。
しかし、今回実施された第49回試験の試験問題は、択一式問題、選択式問題ともに、直近5年間の試験問題と比較して、各科目に「難問」は散見されたものの、比較的「得点を取りやすい問題」の割合が高かったことから、「低合格率時代」に終止符を打つ、3年ぶりの「5%超え」の合格率が期待されました。
今回発表された第49回試験の合格率は、この期待通り「6.8%」と「5%」を大きく超え、合格率の上昇の恩恵により「合格」を勝ち得た「合否のボーダーライン」にあった受験者のみならず、平成30年の受験を予定している受験者にとっても朗報となるものでした。
ただし、前述の史上最低の合格率(平成27年・2.6%)を記録した前年(平成26年・第46回)の試験では、「9.3%」という過去10年では最も高い合格率を記録していたことを考えると、「低合格率時代に終止符を打った」と考えるのは早計であるかもしれません。
なお、今回の試験における合格者数は、「2,613人」で、昨年の「1,170人」から843人増加しましたが、今回の受験者数(38,685人)は、前年(39,972人)から1,287人減少していますので、この合格者の増加の要因は合格率の上昇によるものです。
ただし、合格者数の推移をみると、平成26年以前の10年間の平均の合格者数の約4,000人と比較すると、今回の合格者数は1,500人近く減少しています。これは、社労士の受験者数がピーク時(平成22年・55,445人)と比較して、今回の試験(38,685人)では約17,000人減少していることが要因となっています。
このように、「受験者数が減少しても、合格率を引上げない」という方針は、「社労士業」の市場における「有資格者数」と「適正数」のバランス上、「合格者数(有資格者数)」を必要以上に増やすべきでないとの意図によるものと考えられます。
(2)択一式試験の合格基準点は、去年より「3点」高い「45点」。
平成23年の試験(第43回)以降の択一式の総合得点の合格基準点は、昨年の「42点」を除き、「45点」又は「46点」で決定されていましたが、今回の合格基準点は、「45点」と決定され、平成23年〜平成27年試験における合格基準点に準ずる得点となりました。択一式の問題レベルは、最近では、「平成27年」及び「平成28年」の試験問題の難度が突出して高かったものですが、この2年間に限ってみると、「合格基準点」の差が両年度の合格率を大きく左右しています。 すなわち、平成27年は合格基準点を高難度の問題のレベルに合わせることなく、前年と同じ得点(45点)で決定したために、「2.6%」という史上最低の合格率を記録し、平成28年は前年度より合格率を引上げるという意図のもとに、「合格基準点」を「42点」にまで引下げたものと考えられます。
今回の択一式の問題は、平成23年〜平成26年の問題レベルに準じたものであったと考えられ、合格基準点も「45点」と、その当時の平均的な得点で決定されたため、結果として、平成23年〜平成26年の合格率に近い「6.8%」の合格率になったようです。今後の試験においても、今回のレベルの問題から大きく逸脱したレベルの問題が出題されない限り、択一式の総合得点の「合格基準点」は、「45〜46点」前後で決定される確率が高いものと考えられます。
なお、昨年の試験では、平成19年以降の試験では、ほとんど行われていなかった科目別の「3点」の救済措置が3科目で行われましたが、今回の試験では、「厚生年金保険法」で「3点」の救済措置がとられました。
(3)選択式試験の「2点」の救済措置は、「雇用保険法」及び「健康保険法」の2科目。
選択式の合格基準については、原則として、各科目「3点以上」を合格点としています(総合得点についても、合格基準点が設定されています(今回は「24点」)が、科目別の合格基準点をクリアした受験者が総合得点で合格基準点を下回ることはほとんどありません)が、「3点以上」の得点者の割合が低かった科目については、「2点」の得点の科目を合格点として救済しています。
今回の選択式試験では、過去5年間の試験と比べて「高難度」の問題が比較的少なく、「2点」の救済の可能性がある科目は、「健康保険法」及び「労働の常識」の2科目(当社に寄せられた復元解答における「3点以上の得点者」の割合が低い順)と予想されました。
このうち「健康保険法」については、「2点」の救済は、ほぼ確実と予想され、「労働の常識」についても、5割以上の確率で「2点」の救済が行われる可能性が考えられました。結果として、「2点」の救済が行われたのは、「雇用保険法」及び「健康保険法」の2科目となり、「労働の常識」についての救済は行われていません(「雇用保険法」については、当社に寄せられた復元解答の得点状況と、受験者全体の得点状況に差が生じていたようです。)。
選択式試験においては、毎年、「どの科目が2点の救済の対象となるか」に注目が集まりますが、受験者が選択式で「2点」を1科目でもとってしまうと、その科目が救済の対象となるか否かは、「運」でしかありません。その意味では、平成30年の選択式対策を行うにあたっても、「2点の救済は行われないこと」を前提とした「3点以上の絶対確保」を目標としたいところです。
なお、昨年の選択式試験においても、今回と同様に、2科目で「2点」の救済措置がとられています。しかし、昨年は、事前に救済措置の可能性が考えられた難度の高い科目が「6科目」もあり、結果として2科目の救済にとどまったことから、「択一式試験は合格基準をクリアしたが選択式試験で合格基準に届かなかった」受験者が多くみられました。
今回の試験では、「選択式試験」の「合格基準点」のハードルは昨年よりも低く、逆に、昨年より「3点」引き上げられた「択一式試験」で合格基準点に届かなかった受験者の割合が高かったようです。
平成12年以降の社労士試験の実施状況
※現行の「選択式試験」が採用された平成12年以降の社労士試験の実施状況について掲示しています。
択一式試験 選択式試験 合格率
総合・
合格
基準点
科目別必要最低得点 難易度 総合・
合格
基準点
科目別必要最低得点 難易度
29年 45点 4点
   (「厚年」→3点)
B 24点 3点
 (「雇用」・「健保」→2点)
B 6.8%
28年 42点 4点
 (「常識」・「厚年」・「国年」
→3点)
A 23点 3点
 (「労常」・「健保」→2点)
A 4.4%
27年 45点 4点 A 21点 3点
 (「労常」・「社常」・「健保」・
 「厚年」→2点)
A 2.6%
26年 45点 4点
(「常識」→3点)
B 26点 3点
(「雇用」・「健保」→2点)
C 9.3%
25年 46点 4点 B 21点 3点
(「社常」→1点
「労災」・「雇用」・「健保」→2点)
A 5.4%
24年 46点 4点 B 26点 3点
(「厚年」→2点)
B 7.0%
23年 46点 4点 B 23点 3点
(「労基・安衛」・「労災」・「社常」・「厚年」・「国年」→2点)
A 7.2%
22年 48点 4点 B
(注)
23点 3点
(「国年」→1点
「健保」・「厚年」・「社常」→2点)
A 8.6%
21年 44点 4点 B 25点 3点
(「労基・安衛」・「労災」・「厚年」→2点)
B 7.6%
20年 48点 4点 C 25点 3点
(「健保」→1点
「厚年」・「国年」→2点)
A 7.5%
19年 44点 4点 B 28点 3点 C 10.6%
18年 41点 4点
(「労基・安衛」・「常識」→3点)
A 22点 3点
(「労基・安衛」・「労災」・「社常」・「厚年」→2点)
A 8.5%
17年 43点 4点 B 28点 3点
(「労基・安衛」→2点)
B 8.9%
16年 42点 4点
(「健保」・「厚年」・「国年」→3点)
A 27点 3点
(「健保」→1点)
B 9.4%
15年 44点 4点
(「労基・安衛」・「厚年」→3点)
B 28点 3点
(「労常」・「社労」・「厚年」・「国年」→2点)
A 9.2%
14年 44点 4点 B 28点 3点
(「労基・安衛」→2点)
B 9.3%
13年 45点 4点
(「常識」→3点)
B 26点 3点
(「労基・安衛」・「厚年」・「国年」→2点)
A 8.7%
12年 49点 4点 C 28点 3点 C 8.6%

(注)
1.「難易度」(A→難度が高い、B→普通、C→難度が低い)は、各年度において受験者から寄せられた復元解答の得点状況による。
2.「択一式」は70点満点(1科目10点満点)、「選択式」は40点満点(1科目5点満点)。
3.平成22年の択一式試験の難易度は「B」であったが、この年は出題ミスが5問あり、受験者に有利な採点が行われたため、問題レベルと比較して、「合格基準点」が高くなった。

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