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社会保険労務士

令和5年社労士試験の総括と合格予想基準

さる8月27日に行われた令和5年(第55回)社会保険労務士試験について、当センターに寄せられた試験当日の復元解答の分析結果をもとに、試験の総評と合格予想基準をまとめました。
なお、例年のことですが、復元解答をお寄せいただいている方々は、合格基準の目安点を確保しているか、あるいは合否のボーダーライン上にある方が多く、以下の平均得点等のデータは、全受験者の平均より上位に位置していることを前提にご覧ください。
また、当社に寄せられた復元解答の得点状況と実際の全受験者の得点状況には大なり小なりの乖離が生じていることが考えられますので、今回の予想基準の中で示した合格予想基準等の確率等の数字については、あくまでも参考としてご覧ください。

※この合格予想基準は、当センター独自の見解です。それについてのお問い合わせ等は承っておりませんので、ご了承ください。

択一式試験

最近5年間の試験と比較した問題の難易度

寄せられた復元解答の採点による「択一式」の科目別及び全科目の総合平均点は、次表のとおりです。
なお、参考までに、平成30年(第50回)から令和4年(第54回)までの試験の得点状況もあわせて掲載いたします。

<択一式「科目別」・「総合得点」の平均点>
労基法 労災法 雇用法 一般常識 健保法 厚年法 国年法 総合点
令和5年 5.7 5.5 6.7 5.9 6.6 5.5 7.9 43.8
令和4年 6.3 5.6 7.0 6.4 5.8 6.5 6.1 43.7
令和3年 6.3 5.6 6.4 5.8 5.8 6.6 7.0 43.6
令和2年 6.4 6.1 6.7 5.7 6.1 6.3 6.5 43.8
令和元年 6.3 6.6 6.8 5.3 5.4 6.7 5.8 42.9
平成30年 6.7 7.4 7.1 5.5 6.9 6.7 6.2 46.6

今回の復元解答の択一式の総合得点の平均点は「43.8点」で、前年(令和4年・43.7点)の平均点とほぼ同じ得点で、前々年(令和3年・43.6点)の平均点ともほとんど差のないものでした。

択一式の合格予想基準

平成10年以降の択一式の総合得点の「合格基準点」は、その年の受験者の得点状況により、「41点」(平成18年)から「50点」(平成11年)の範囲で決定されています。
復元解答の択一式の総合得点の平均点とその年の「合格基準点」の関係を見ると、次表のとおりです。

<択一式「復元解答平均点」と「合格基準点」>
復元解答平均点 合格基準点
令和5年 43.8
令和4年 43.7 44
令和3年 43.6 45
令和2年 43.8 44
令和元年 42.9 43
平成30年 46.6 45

平成20年以降の択一式の総合得点の合格基準点は、上表にはない平成20年〜平成29年を含めてみると、復元解答の平均点を3.3点上回って決定された平成27年を除き、概ね復元解答の平均点の「-1点」〜「+1点」の範囲で決定されています。 今回の復元解答の平均点は「43.8点」でしたので、この流れでいくと仮定した場合、今年の択一式の総合得点の「合格基準点」は、まず、「43点〜45点」の範囲の得点が考えられます。

なお、平成23年以降、平成30年までの8回の試験における択一式の合格基準点の推移をみると、平成28年(42点)を除き、7回までが「45点」又は「46点」で決定されていました。 難問が多かった令和元年の試験では、「43点」まで引き下げられましたが、今回の復元解答の平均点とほとんど差がなかった令和2年、令和3年及び令和4年の直近の3年間の試験では、それぞれ「44点」、「45点」、「44点」で決定されています。

択一式の合格基準点は、その年の「合格率」に直結しますが、直近の4年間の合格率が5〜7%台であったことから、今年の合格率が5%を下回ることは考え難く、 得点状況が直近の3年間の得点状況に準じている今回の合格基準点が、「46点」まで引き上げられる可能性はそれほど高くないと考えられます。

前述のように今回の択一式問題のレベルは、直近3年間の問題のレベルに近いものにあることから、今回の択一式の合格基準点は、「44点〜45点」の範囲の得点で決定される可能性が高いものと考えられます。

なお、択一式試験に合格するためには、総合得点だけでなく、科目別の「最低得点」(原則として「4点」)を確保することが必要です。 ただし、科目別の「最低得点」の「4点」は、特に受験者全体の得点が低い科目があった年は、その科目に限り「3点」まで引き下げられることがあり、 最近では、平成29年に「厚生年金保険法」で、平成28年に「一般常識」、「厚生年金保険法」及び「国民年金法」の3科目で「3点」の救済が行われています。 しかし、平成29年以降、直近の令和4年まで、救済措置が取られた科目はなく、また今回の試験では極端に平均点の低い科目もありませんでしたので、 今回の試験で「3点」の救済措置がとられる可能性はほぼないものと考えられます。

選択式試験

過去の試験と比較した問題の難易度

復元解答の採点(1科目5点満点、全科目40点満点)による「選択式」の「平均点」は次表のとおりです。

<選択式「科目別」・「総合得点」の平均点>
基安法 労災法 雇用法 労働常識 社保常識 健保法 厚年法 国年法 総合点
3.7 4.7 2.9 3.4 4.0 4.3 3.4 3.9 30.3

今回の選択式試験の復元解答の総合得点の平均点は「30.3点」で、前年(令和4年・30.4点)とほぼ同じ得点になっています。また、科目別の「得点分布」は、次表のとおりです。

<選択式「科目別」の得点分布(%)>
得点区分 基安法 労災法 雇用法 労働常識 社保常識 健保法 厚年法 国年法
5点 14 70 0 7 39 46 7 36
4点 43 28 14 38 32 43 43 32
3点 39 2 68 39 21 7 32 18
2点 4 0 11 15 4 4 14 14
1点 0 0 7 0 4 0 4 0
0点 0 0 0 0 0 0 0 0

後記で述べるように、「選択式」の科目別の合格基準は、原則として「全科目について「3点」以上(5点満点)の得点があること」とされています。

今回の試験で、原則的な「合格基準点」である「3点以上」の得点者の割合を科目別にみると次表のとおりです。 なお、参考までに、平成22年以降の同条件の得点者の割合もあわせて表に掲示します。

<選択式「3点」以上の得点者の割合(%)>
基安法 労災法 雇用法 労働常識 社保常識 健保法 厚年法 国年法
令和5年 96 100 82 84 92 96 82 86
令和4年 99 88 94 88 70 97 92 98
令和3年 90 93 76 21 76 93 84 75
令和2年 88 98 99 46 74 84 98 93
令和元年 98 99 98 80 43 90 95 98
平成30年 80 98 95 68 85 91 83 65
平成29年 98 99 92 71 91 61 95 91
平成28年 94 98 68 42 84 85 76 82
平成27年 92 63 89 29 79 72 83 77
平成26年 96 91 92 82 94 88 93 99
平成25年 93 27 94 89 31 39 91 97
平成24年 98 99 83 94 61 81 66 94
平成23年 94 51 90 71 51 91 80 77
平成22年 91 89 94 91 59 78 55 28
選択式の合格予想基準

「選択式試験」は、平成12年から採用された出題形式ですが、直近10年間の合格基準は次表のとおりです。

<選択式「合格基準」>
科目別得点 総合得点
令和4年 全問「3点」以上。 「27点」以上
令和3年 「労働の常識」は「1点」以上。「国民年金法」は「2点」以上。その他の6問は「3点」以上。 「24点」以上
令和2年 「労働の常識」「社会の常識」「健康保険法」の3問は「2点」以上。その他の5問は「3点」以上。 「25点」以上
令和元年 「社会の常識」のみ「2点」以上。その他の7問は「3点」以上。 「26点」以上
平成30年 「社会の常識」「国民年金法」の2問は「2点」以上。その他の6問は「3点」以上。 「23点」以上
平成29年 「雇用保険法」「健康保険法」の2問は「2点」以上。その他の6問は「3点」以上。 「24点」以上
平成28年 「労働の常識」「健康保険法」の2問は「2点」以上。その他の6問は「3点」以上。 「23点」以上
平成27年 「労働の常識」「社会の常識」「健康保険法」「厚生年金保険法」の4問は「2点」以上。その他の4問は「3点」以上。 「21点」以上
平成26年 「雇用保険法」「健康保険法」の2問は「2点」以上。その他の6問は「3点」以上。 「26点」以上
平成25年 「社会の常識」は「1点」以上。「労災保険法」「雇用保険法」「健康保険法」の3問は「2点」以上。その他の4問は「3点」以上。 「21点」以上

上の表でみるように、直近10年間の選択式の「総合得点の合格基準点」は、「21点〜27点」の範囲で決定されています。今回の選択式の平均点は、 「30.3点」でしたが、平均点がほぼ同じ(30.4点)であった前年の合格基準点が「27点」であったこと及び他の年度の平均点とその年の合格基準点との比較から、 今回の「総合得点の合格基準点」は、「26点〜27点」の範囲で決定される可能性が高いと考えられます。

なお、各問の合格基準点は、原則として、「3点以上」を合格点としていますが、上表及び前記の<選択式「3点」以上の得点者の割合>の表を比較すると、 「3点以上」の得点者の割合が特に低かった科目については、「2点」(さらに「2点以上」の得点者の割合の低かった科目については、「1点」)の得点を救済しています。

今回の選択式試験は、「3点以上」の得点者の割合が「80%」を下回る科目がなく、また、昨年の試験で、「3点以上」の得点者の割合が「70%」と低かった「社会保険に関する一般常識」についても、 「2点」の救済措置が行われなかったことから、昨年に引き続き、今回の試験で「2点」の救済が1科目も行われない可能性が高いものと考えられます。

また、「3点以上」の得点者の割合が80%台の前半であった「雇用保険法」、「労働に関する一般常識」、「厚生年金保険法」については、「2点の救済措置」が行われる可能性が考えられますが、その確率はそれほど高くないようです。

なお、前述の『選択式「3点」以上の得点者の割合』のデータについては、実際には、前述のように、当社に寄せられた「復元解答」の傾向と受験者全体の傾向との間で少ならず乖離が見られるところです。 このため、前述の「2点」の救済措置の対象科目・確率等の内容については、このような「不確定要素」が残るものであることをご承知下さい。

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